上下巻同時発売のこの作品は「春と秋について」の正統続編。奏でという不登校の女の子が加わることで前作では見られなかったハルとアキの「大人」の面を感じることができます。前作から読んでいる人にはハルとアキという人間をより深く掘り下げた描写に唸らされること請け合いです
「本と書店を愛するすべての人へ(帯文)」。様々な書店に勤める様々な書店員さんたちが、それぞれの日常の中で想いをつづるお話。ある書店の女性はいろんな作者のいろんな本を売ろうとポップ書きやコーナーづくりを頑張りつつも、当てが外れたり開き直ったりする様子が面白い。また作家志望の書店員さんの複雑な思いやら、花屋の隣にある本屋さんの女性と花屋さんとの関係やら、古本屋の店主のこだわりなどなど、様々な書店の人々による日々の言葉の連なりが可笑しかったりしみじみしたりと、上質に楽しませてくれる作品になっています。
この作品は百合です。 面倒臭がりOL面堂さんと、料理は愛情手間暇かけたがる社長秘書の十越さんがそれぞれ互いに「心の十越さん」と「心の面堂さん」がいるって、それはもう百合ですよね。社会人百合ですよね。 今巻も49Pのめんつゆレシピ本で面堂さんを連想してしまう十越さんは百合判定待ったなしです。百合漫画大賞にノミネートされてないのはきっと何かの間違いです。
義理の親娘になったふたりの関係性を描くその先の親娘百合作品になるのかこれは。 キャラクターに温かみを感じる作風に、題材的には湿った方向に傾きかねないところに爽快さを持たせるバランス感覚によって、毎回良い読後感があります。
頑張りたいけど頑張れない、そんな人に寄り添ってくれる稀有な作品。本作品は「人間へたくそ青春コメディ」を銘打っており、その名の通りコメディとして十二分に面白いのだが、一方で留年という事実は課題として重くのしかかってくる。この作品は、人間のどうにもならない部分を虚飾せずにあるがままに描いている。問題は簡単には解決しないし、明確に前に進んでいる感じもしない。人間下手くそを自認する読者にとって、そんな人間が描かれていること自体が救いである。
人間として生きていく上で大事な何かが、何の理由もなく悉く欠落していて、それ故に高校で留年してしまった少女・穂波殊。真綿で首を締めていくような日常の中で、友達の存在すらも決定的な救いにはならないけれど、それでもサヴァイヴしていくしかない。『またぞろ。』の世界観は、透徹した冷たさと、間違った人間の物語を長い目で見届けるやさしさによって出来ています。ここまで容赦のない物語は、倒す敵など存在しない「日常」という檻の中でこそ生まれるのであり、『きらら』最大の異端でありながら、『きらら』でなければ生まれえなかった奇書と言えるでしょう。
ゆるゆる暖か日常コメディの9巻。ついにアレをカミングアウトした花名だったが、その後も日常は変わらず緩やか。億や兆野も加わって、生徒会役員の補佐として奔走する。更に四天王の家族も加わって、賑やかな文化祭に思わず顔が綻ぶ。表紙に騙されてはいけない。
相変わらずぐうたらなナルさんとしっかり者のユキ、彼女たちの周りのキャラ達。そんなほのぼのとした日常生活、しかしその裏に潜む陰影が刻々と忍び寄る──面白くほのぼのとした作品ではありますが、常に緊張感を持たずに読まずにいられない、そんな二人の日常。先の展開が非常に気になります。

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