ryousunaさんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2021!
モノローグ書店街
|
小坂俊史 |
竹書房 |
2021-03-27 |
モノローグシリーズ最新作。抒情性の高さはこの作品でも健在。ほぼ固定の登場キャラのエピソードが淡々と語られていきます。印象に残るキャラは作家志望の及川。ままならない自分の人生を韜晦している姿が印象に残ります。負の感情を発露していても取り込まれることはなく、かといって及川の人生を後押ししたいという気にもならない。この絶妙なバランスにより、及川というキャラが心のどこかに引っかかるのです。淡々と描かれるモノローグですが小坂俊史という漫画家の濃いエッセンスが支えている作品なのです。
|
マチ姉さんのポンコツおとぎ話アワー
|
安堂友子 |
ぶんか社 |
2021-04-14 |
おとぎ話という縛りをかけながら千変万化のギャグをくりだしてくる傑作ギャグ4コマです。おとぎ話の中に現代的価値観を入れ込むことにより発生する不協和音が笑いに昇華されます。さながらショートコントを観ているかのごとしです。読者の多くが知っているおとぎ話をネタにする利点は説明不要でギャグを繰り出せること。1コマ目からオチをつけてもそれが読者に通用するのです。これはおとぎ話をネタにする大きな利点です。 |
六畳一間の憑き物石 (1)
|
西岡さち |
芳文社 |
2021-09-07 |
石に取り憑いている幽霊のこいしとどこか虚無感を垣間見せる大学生の瞬の異種恋愛作品です。ストーリー4コマとして秀逸なのが作品に散りばめられた「謎」。こいしの存在自体の「謎」。瞬の生い立ちに見え隠れする暗い「謎」。この謎が明らかになるたびに大きく動くストーリーから目が離せません。
|
大越春太郎は黙れない! (1)
|
瀬田ヒナコ |
双葉社 |
2021-08-11 |
正直すぎて口に出さずにはいられない大越春太郎が同じく新人の仲市を律子とともに業務を邁進するお仕事4コマと派遣会社という派遣する側の視点から派遣社員の悩みや不安を解決!トラブルメーカーだけど憎めない春太郎のキャラは何か勇気が湧いてきます。理由を考えるとやはり正面から向き合ってくれてくれるからでしょうね。癖があるキャラほど愛おしいのです。 |
黒影夜子の駐在日誌 (1)
|
唐草ミチル |
竹書房 |
2021-10-27 |
昼は虚弱、夜はハッスル。まるで吸血鬼のような体質の警察官・黒影夜子と村の人々との交流をコメディタッチで描いた作品です。夜子以外にもくノ一女子高生や目立ちたがりの村長などの突拍子もないキャラが出てきますが、不思議と作品内では地に足がついた存在になっています。これがあるのでコメディと人情話を両立できた作品になっているのです |