kawada0zoさんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2022!
ポンポコタヌキとへっぽこ王子 (1)
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桜Qり |
芳文社 |
2022-02-25 |
天然で小動物的な可愛さあふれる化け狸・豆子と、舞台の上では王子様なのに普段は地味で気弱な黒髪美女・玲音、ダブルヒロインがどちらも魅力的。型通りのマンガであれば「豆子の正体をどう隠す!?」とか「変身能力で問題解決!」とかそういう方向でストーリーを組み立てるところだが、1巻の範囲では「演劇部の部活もの」にまとめているのも独特で面白い。 |
ササエルの中には誰もいない (1)
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こめつぶ |
芳文社 |
2022-09-27 |
妹に対してご当地キャラになるよう強要…という設定で、お姉ちゃんがクズorゲスキャラの類型でないのが大好き。なんなら「いいお姉さん」ですらあるし、その分主人公のほうがダメ人間だという。どなたかが言っていたが、主人公姉妹に限らず主要キャラは皆ボケにもツッコミにもなれるという自在さがこの作品の強みだ。それは登場人物同士の関係性の掘り下げにもなっている。 |
白魔導士はゾンビの夢を見るか? (1)
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バニライタチ |
芳文社 |
2022-11-26 |
「異世界で無双もの」を逆転させ、その上で「ゾンビもの」と掛け合わせて、「きらら」4コマフォーマットに落とし込んだ…というキメラ的な快作。ゾンビものの緊迫感と日常系ののほほん感が違和感なく両立している。治癒魔法がゾンビを消滅させる攻撃魔法でもあり、さらにもうひとつの特効もあって、1日3回の制限がある中でどう使うか? というゲーム的なスリルも面白い。 |
雑兵めし物語 (1)
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重野なおき |
竹書房 |
2022-07-29 |
光あるところ影がある。まこと栄光の陰に数知れぬ「雑兵」の姿があった…。当世流行りの「めしもの」の戦国版、だなんてナメてはいけない。食事情をとっかかりにして、戦国乱世を底で支えた雑兵たちの生き様を描き出している。貧しく悲惨で、大望も忠義もない必死の日々だけど、そうした部分を隠さず描いたうえで明るく笑えるマンガなのが凄い。武田軍の脅威など、主人公の力の及ばぬところにもドラマがある。そもそもの話、「考証ガッチリな時代劇で長編としてのドラマもあって4コマごとにオチてるマンガ」ってもうその時点で尋常でないのだ。 |
怖い4コマことわざ事典
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湖西晶 |
イースト・プレス |
2022-07-07 |
「意味がわかると怖い4コマ」の異母姉妹作(作者は同じだが版元が異なる)。4コマだけでは「?」と未消化感を残して次の解説ページでオトす、という構成は相変わらずの冴えだが、こちらはホラー基調に加えて「ことわざ」縛りなのがミソ。「このことわざでこんな話かよ!」というこじつけ感を感じるところも多々もあるが、それがまたギャグテイストとなって面白みを増している。 |