oden90yenさんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2021!
またぞろ。 (1)
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幌田 |
芳文社 |
2021-04-27 |
留年である。浪人どころか留年である。スロウスタートの花名はおたふくかぜというやむにやまれぬ事情で(こっそり)浪人したが、留年である。しかも本作主人公の穂波殊は「人間がへたくそ」すぎて、今まで世話をしてきてくれた友人と離れたとたんに生活力ゼロが露呈し敢え無く留年。留年生はほかに二人いるが、片方の広幡詩季は体が弱く入院が多くて留年、もう片方の六角巴はプロカメラマンとしての仕事が忙しくて留年と、ただひたすら生活力の無い穂波殊とは留年ヒエラルキーが違いすぎる。なお穂波殊は今度は広幡詩季にモーニングコールされている模様。まるで成長していない…
そんな留年3人組であるが、読者は感情移入できただろうか?あまりに自分の経験と違いすぎるのでは?だがこの作品では絶妙に軽く見せてくるところも多く、留年あるあるというよりダメ人間あるあるのカテゴリでコメディ仕立てにもできている。でも部屋が片付けられないまま時間が経ってしまうのはかなりつらかったぞ。
後半、穂波殊の幼馴染である堤麻里矢が出てからは穂波殊の過去も描かれる。幼稚園の頃から、おはようからお休みまで堤麻里矢に世話されっぱなしである。要介護である。
今の人間がへたくそな穂波殊は堤麻里矢によって作られたといってもいい。そして堤麻里矢も自分で言っている、穂波殊に甘えていたと。穂波殊に頼られたい、穂波殊がいないといけない、堤麻里矢もまた人間がへたくそな側の者なのではないか? |
はなまるスキップ (1)
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みくるん |
芳文社 |
2021-05-27 |
『まんがタイムきらら』とは何か、もっと広く言えば『きららっぽい』とは何か?かわいい女の子たちがかわいいことをすればきららっぽい?
この『はなまるスキップ』はまんがタイムきららの作品を、萌え4コマを一度細かく分解して徹底して解析したのち再構築したものである。セリフを読まずに絵だけを見ればデフォルメの効いたキャラがコミカルなやりとりをしている正統派きらら漫画である。しかしセリフを読むと可愛いキャラとは裏腹な毒舌、クズ行為、選挙で買収などろくでもないことばかりである。そもそも真面目にピクニックに行ってねえ!
きららを名乗るのにふさわしくない?ここでまたきららとはなにかという無限ループにハマる。この作品は4コマ漫画を読んでいる者たちに『まんがタイムきららとは何か』を無限に自問させる作品なのだ。 |
ホレンテ島の魔法使い (1)
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谷津 |
芳文社 |
2021-02-25 |
「絶海の孤島の夢と魔法の島」という触れ込みの島であるが、ちょっと行けば途端に現実に引き戻されてしまう、いわば世界観を演じ切れていないテーマパークであり、ストーリーに縋った観光地である。もちろん魔法も実在はしない…とおもいきや。
ホレンテ島と言えば突然始まる歌やミュージカルであるが、これがメディアミックスになったらどうなるのか見てみたいものである。 |
しあわせ鳥見んぐ (1)
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わらびもちきなこ |
芳文社 |
2021-10-27 |
いま風の分類でいえば趣味モノ4コマにカテゴライズされるのだろう。
しかしあまたある趣味モノ4コマの中でも近づいてみると途端に牙をむいてくるのだ。野鳥へのとてつもない解像度の高さ、4コマという表現を最大限生かした視線誘導、そしてなにより「バードウォッチングしてみたい」と思わせる作話。あらゆる点でクオリティが高すぎる。 |
しずねちゃんは今日も眠れない (1)
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逸見 |
芳文社 |
2021-04-27 |
キャラットで一番最後とっておいて読み楽しい気持ちのまま眠りにつける漫画…いやほのぼのも強いけどギャグのキレもなかなか。ところでしずねちゃんのクマがどんどんひどくなるんですが大丈夫なんですかね? |