4コマオブザイヤー2018

Cotswolds0405さんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2018！

サジちゃんの病み日記 (1)

	アサギユメ
	芳文社
	2018-09-27
「きらら」の限界を一段階広げた邪悪な少女たちの、純粋すぎる愛を鬼気迫る筆致で描いた衝撃の百合４コマ。倫理や秩序を排除して剥き出しの愛の渇きに向き合った本作は、ある意味では最も普遍的な恋愛漫画かもしれない。じっとりとした陰湿さとブッ飛びすぎて爽快にすら感じられる暴力性が同居しているバランス感覚も素晴らしい。

うたえ！エーリンナ

	佐藤二葉
	星海社
	2018-04-12
個人的に、いわゆる「４コマ読み」の方々にあまり注目されていないと感じるものの、傑作と感じ入った漫画。今よりも遥かに人の命が儚く、「平等」の質が根本的に異なる古代ギリシャ世界で果敢に夢を歌う少女の姿は時を越えて胸を打つ。歴史漫画としてもディティールは濃密で、隙がない。

月のテネメント

	塀
	一迅社
	2018-06-22
「寂寥感」によってお仕事４コマとご当地４コマを一体化させた、異端の傑作。下町の喫茶店を否応なく巻き込む時間の流れを惜しむ心と、それでも芽生える未来へのささやかな期待の絶妙なコントラストは、現代の「もののあはれ」を感じさせる。一巻に凝縮された熱さとほろ苦さをじっくりと味わおう。

恋する小惑星 (1)

	Quro
	芳文社
	2018-03-27
言葉を尽くそうとするほどに「品質が高い」「面白い」「やばすぎる」というシンプルな感想が浮かび上がってきてしまう、とにかく強い４コマ漫画。地質学と天文学をザッピングさせながら描ける知識量の高さと、壮大な星の営みと小さな少女の青春を時に面白おかしく、時にロマンチックに重ね合わせる引き出しの広さに、ただただ圧倒される。

ふじょ子とユリ子 (1)

	モル
	芳文社
	2018-04-26
出落ちのようなタイトルに期待されるジャンルあるあるギャグの面白さと、愛するひとをより良く知るために異なる嗜好の中に踏み込んでいくいじらしさが入り混じった良作。タイトルからはこの２人が幼馴染であることが判断できないのだけれど、近いようで遠い所にいた２人が少しずつ不可視の境界を溶かしていく、幼馴染だからこそのバリューを個人的には推していきたい。

Cotswolds0405さんの既刊部門4コマオブザイヤー2018！！

がんくつ荘の不夜城さん (2)

	鴻巣覚
	芳文社
	2018-11-27
新刊部門の枠を絞りきれなかったため泣く泣く既刊の枠に回したものの、紛れもなく今年のきららの新作を象徴する一作。きららのコンプライアンスに挑戦するような赤裸々さと生々しさ、掲載誌の休刊すら糧にするしたたかさは、この作品だけが持ち得る武器と言える。地下世界で培われた芳醇さを楽しみ、そして「２巻突破」の切実さを学んだ上で応援しよう。

どうして私が美術科に!? (2)

	相崎うたう
	芳文社
	2018-04-26
表面的な特性と内面の本質の間に薄暗い二面性を抱えた少女たちという、作品全体を貫く「構造」が見えてくる様は戦慄すら覚える。相互不理解や認識の相違を抱えたまま進んでいく物語は不器用で弱い人間たちへの賛歌であるとともに、サスペンス的な面白さすら孕んでいく。１巻で「面白いけどきらら４コマとしてありがちといえばありがちかな」と感じた人ほど、２巻で震えて欲しい。

まちカドまぞく (4)

	伊藤いづも
	芳文社
	2018-10-25
３冠王なので個人的に殿堂入り扱いで敢えて投票しないことも考えたのですが、この時代において最強の４コマ漫画を選ばないのは道理に反するので選出しました。

TCGirls (2)

	もみのさと
	芳文社
	2018-07-26
きんいろモザイク以来まんがタイムきららMAXのメインストリームとなっている「メインキャラ５人制」と、マジック・ザ・ギャザリングやデュエル・マスターズに存在する「カラーパイ」の概念の相性の良さを証明した記念碑的作品。競技志向とカジュアル志向、個人の楽しみとコミュニティの喜び――TCGの様々なきらめきを全方位から肯定した本作は、紛れもなく「きららのカードゲーム漫画」だった。二巻で終止せず無限への突入を果たして欲しかったが、アン一門の記憶に残る勇姿は不朽にして永遠。

ご注文はうさぎですか？ (7)

	Koi
	芳文社
	2018-11-07
この超有名な人気作品を敢えて今年選出したのは、そこで世界を不可逆的に一歩ぶん進めてしまう劇的な変化が起きたからだ。７巻まで読んだなら、ご注文はうさぎですか？は今やキャラクターの「人生」を描く物語なのだと、きっとわかってもらえるだろう。

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