gzagza3さんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2017!

どうして私が美術科に!? (1)
相崎うたう
芳文社
2017-03-27
きっとこの漫画を読んで、救われる人は沢山いることだろう。自分の居場所は本当に存在していると強く確信できているだろうか?自分の人生の選択は間違っていなかったと確信を持って断言できるだろうか?「ここにいる」という確信、「ここにいていい」という安心、「ここにいたい」という願いが珠玉のように詰まった作品。皆どこかしらに孤独を抱えており、それをそんな皆同士で解消していく物語でもある。黄奈子の家庭の事情、彼女の心情が個人的に自分と重なっていて、思うところもあるので、今回1番推したい作品です。 どうしてここにいるのか?何のためにここにいるのか? テストを間違えまくる人、方向性が間違ってる人、加減を間違えて留年した人、受験科を間違えた人、 進路を間違えた人。 親との不仲で居場所を失っていた黄奈子が、「桃音のいる場所」を居場所と見つける物語。 自身に美術の素養がないがゆえ孤独を感じていた桃音が、自身と皆の孤独を溶かしていく物語。 人は弱く、ゆえに集う。美術X室は今日も騒がしい。
ぽんこつヒーローアイリーン (1)
ぼや野
芳文社
2017-11-27
1人はぽんこつ、1人はコスプレ。ヒーローの正体はちっぽけで、だけどちっぽけだからこそヒーロー。不完全で、弱々しくて、でも友達がいるから安心できて。ヒーローという社会的英雄像の象徴と、孤独でちっぽけな等身大の人間、その対称性に焦点を当てたヒロイック日常コメディ。丁寧な友情と正義と反抗が描かれており、終盤のラブリーメロンの特大感情は必見。
TCGirls (1)
もみのさと
芳文社
2017-05-27
我慢する?それは赤くないな。ニッチなようでニッチじゃないような、そんな微妙なライン上の趣味である「TCG(トレーディングカードゲーム)」をテーマにした作品。お仕事モノの形を取る事により、禁止改訂によるメタの乱高下やスリーブ保護用のスリーブ、サーチ行為(重量の違いなどでレア入りパックのみを抜き取る行為。専門店では当然禁止行為でありプレイヤーからも嫌われている)への言及など、実際にプレイしているプレイヤーにしか分からないような異常に細かいネタを扱いながら、そのネタを非プレイヤー層でも容易に理解できるように分かりやすく整えられており、プレイヤー層には強い身近さを感じさせながら同時に非プレイヤー層にも強力に訴求している。この手の趣味系の漫画はニッチに向かいターゲット層を極端に狭めてしまうか、分かりやすさを意識しすぎて根本のテーマを見失ってしまうかのどちらかという二者択一の陥穽、ドツボにはまってしまいがちであり、そんな二項対立をどちらも高いレベルで両立できているのは丁寧なバランス感覚と高度な作劇力に基づいて作られている事がありありと伝わってくる。また、この作品は「萌え4コマの3〜6人キャラクターフォーマットテンプレート」と「Magic:The Gatheringやデュエル・マスターズなどにおけるカラーパイのフレーバー的・ゲーム的性格」の相性の良さを意図的に利用している作品でもある。デュエマのアニメを観たことがある人にはそれをイメージしてもらえば分かりやすいかもしれない。キャラクターの名前がそれぞれバーン、パーミッション、リアニメイト、ビッグマナ、ウィニーをもじったものとなっており、それぞれ赤、青、黒、緑、白というふうに、キャラクターのイメージカラーに応じたMTGの5色に対応している。その割り当ては猪突猛進なアン、生真面目なシオン、力を求めるメイ、受容的なマナ、純真なニイナというふうにキャラクターの性格付けにも現れている。題材をメタ的にも利用しており、ただの趣味モノにとどまらない作り込みと言える。カラーパイの文学的芸術性を含み込んだ複合芸術としての一面も持ち合わせていると言えるだろう。
ゴスロリJK無人島漂流記 (1)
青田めい
芳文社
2017-04-27
もふもふしたい!ふわふわでユメカワでやさしいものがいっぱい出てくるよ! 力の姫野と頭脳の吉崎、今でこそとても仲睦まじい主人公達2人は、互いの初対面の印象は最悪の一言に尽きる。ゆえに、たった数話で成された関係性の変化が非常に力強くこの作品の基盤を構成している。その関係性の変化も独特の世界観を支えており、作者の圧倒的ゆるふわ力(ぢから)に押し潰されてしまうだろう。早くこのメルヘンなユメカワいさを皆に届けてゆるふわになりたい。
しょーがくせいのあたまのなか (1)
石見翔子
芳文社
2017-01-27
子供の頃、世界は神秘でいっぱいだ。世の中には知らないことと不思議なことがいっぱい。子供の目線のクセになる世界観をお楽しみあれ。

gzagza3さんの既刊部門4コマオブザイヤー2017!!

ご注文はうさぎですか?(6)
Koi
芳文社
2017-11-09
ギャグのキレやストーリーの盛り上がりと共に生まれてしまいやすい「不快感」「暗さ」「誰かをからかった笑い」といったものがこの作品では徹底的に排除されている。いわば絵本のようなひたすらに牧歌的で清らかな世界だ。そのような、きらら系の中でもとりわけ理想郷的、悪く言えば非現実的な世界観でありながら、ふとした感情やちょっとした仕草、表情などに西欧写実主義的な「整形されたリアリズム」がかなり強く意識されて盛り込まれており、作品への強い没入感を持たらす。読んでいれば自然と子供のような純粋な心を思い出し、心踊りぴょんぴょんしてしまう事だろう。狂信的な人気も納得の「読んでいると救われる作品」である。 あ、ここまでは去年書いたコメントです。6巻はさらに不思議で優しく暖かく幸せでユメカワです。高いリアリティレベルと幻想的世界観を両立した、忘れてしまった夢の国、心を映す鏡の国、楽しい楽しい不思議の国に是非お越しください。
はんどすたんど! (2)
有馬
芳文社
2017-08-26
きららの部活モノというと部活があんまり関係ない、そんなイメージもあるかと思われる。しかし、この作品の彼女らは互いに真面目(真面目か?)に部活をやり、努力し、気遣い、応援し、思いやり、励まし、和ませる。彼女らの細やかなキャラクター、仕草、感情に親しみを、尊敬を、敬愛を、可愛らしさを、愛情を、安心感を、暖かみを、フランクさを、人間を感じ、そこにいるかのように感じさせる。そして、親しみを感じる相手からフランクに投げかけられた笑いはくだらなくてもなぜか大爆笑してしまうものだ。お笑いでそこ介入してくるのズルくない?とまで思わせる、人間の心理を巧みに利用した新次元のコメディ漫画であり、青春部活モノであり、青春学園モノである。 暖かな笑いの芸術品、キミはついてこられるか─────!?
ステラのまほう (5)
くろば・U
芳文社
2016-12-27
この作品は基本的にはきらら系特有の牧歌的な世界観でありながら、ふとした隙に牙を剥くネガティヴな要素が至る所に介在している。しかしそれは尾をひく事はなく、爽やかな青春群像劇を引き立てる一要素として見事に生かされている。奇しくも同誌連載のごちうさとは、ネガティヴな要素に対してかたや徹底的に排除し、かたや正面から向き合うという真逆の態度をとっているが、目指しているところは同じく「読んでいると救われる作品」となっている。 ここまでは去年のコメントです。5巻ではさらにキレが増して心を抉られました。歌夜の姉との確執、裕美音の拗れた思い、照のモラトリアムの悩み。高いリアリティレベルに基づきながら青年期の切実な悩みに真摯に向き合った、救いを根底のテーマに持つ作品。
神様とクインテット (2)
おしおしお
芳文社
2016-12-27
恐怖!全身出血女。血と汗と涎と鼻水ですっごいベタついてそう。頭蓋炊飯器、血染露天風呂、マッハ犬ドリル、爆発炎上、暴力などありとあらゆる勢いと非常識を支えるのは圧倒的にして繊細で荒く丁寧で豪快な画力であり、詰め込まれた狂気を撒き散らす危険なスプラッターギャグ漫画。 残念ながら2巻が最終巻となってしまったが、強烈な印象を残していったこの作品は間違いなく1つの伝説として語り継がれていくことだろう。同作者の「さくらマイマイ」は連載が続いているので、この狂気を追い続ける事としよう。
こみっくがーるず (3)
はんざわかおり
芳文社
2017-06-27
アニメ化の話題で名前を聞いた人も多いであろうこの作品は、主人公が平均以上のスペックを一切持っておらず、ネガティブで怖がりで上がり症で碌な所が無いという、一片の英雄性も持っていないかなり珍しい作品である。だが、その情念と執念は誰よりも熱い。これは無能な者の闘いだ。不完全で、未熟で、弱々しい。だが不屈である。倒れなければ倒れないのだ。己の内に渦巻く熱い情熱のためにペンを持つ。迷いも、悩みも乗り越えて。己の魂を振り絞った熱い闘いを見逃すな。 また、この漫画の作者は少女漫画家でもあり、作中での「少女まんがっぽい子」である恋塚小夢ちゃんが非ッ常ーーーーーーーーーーーに可愛らしいのだ。読んで(懇願)

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