Matcha1919さんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2021!

またぞろ。 (1)
幌田
芳文社
2021-04-27
”留年生”たちの二度目の学園生活を、楽しげに、そして痛々しく描いた作品。4コマ漫画で何度も描かれてきた美しく尊い「繰り返す日常」は、「やり直し」の真っ只中である留年生にとっては、同時に常に苦しみを突きつけられるものでもあるのです。全編をどこか漂う、じとりとした湿気が張り付いたような空気感には、唯一無二の魅力があります。今まで人生で躓いたことのある皆さんに読んで欲しい、心に突き刺さる一作。
妖こそ怪異戸籍課へ (1)
柴朗
芳文社
2021-11-26
人虎、つらら女、人造人間……そんな多種多様な妖怪たちのサポートをする「怪異戸籍課」のお話。ちょっと不思議な街の暮らしを、いきいきとコメディタッチに描きます。妖怪たちはその性質もあって、様々な仄暗い過去があることを感じさせますが、そこで度々登場するのが主人公・山本睦子。妖怪たちの個々のエピソードを貫くように全編に渡って描かれる彼女の優しさこそが、この作品を象徴しているものだと感じます。そしてそんな睦子本人の物語がいよいよ1巻終盤で語られる、というこの構成がまた上手い!
ぎんしお少々 (1)
若鶏にこみ
芳文社
2021-07-27
「銀塩カメラ」ことトイカメラがテーマの本作。二組の姉妹の片割れの、姉同士・妹同士が知り合うことで始まる、不器用な人々の人間模様を繊細な筆致で描きます。今と違う過去の風景、遠く離れた場所、そしてファインダーの向こう側……こうした時間や場所の距離をふわりと超えてゆくような、どこか神秘的も思えるカメラの魅力の描き方が非常に良い。フィルム写真のようなどこかノスタルジックな暖かさが、じんわりと心に染み渡る作品です。
ぬるめた (1)
こかむも
芳文社
2021-01-27
人造人間のくるみを中心に個性的な面々が繰り広げる、ハイテンションコメディ。強くデフォルメされた絵柄が大変可愛らしく、全編通じて作者のポップなデザインのセンスがなんとも魅力的です。内容も毎回予想の外から飛んでくるユニークなアイデアにあふれており、軽妙でくだらないトークや、破天荒なくるみの改造など、作品のペースにどんどん巻き込まれてしまいます。ストイックな会話劇の面白さを存分に堪能できる作品。アンドロイドモノとしてのSF観が随所にあるのも楽しい。
しあわせ鳥見んぐ (1)
わらびもちきなこ
芳文社
2021-10-27
「鳥見」ことバードウォッチングをテーマにした作品。4コマ漫画の性質である「縦長のコマ割り」が人と鳥との「高低差」をこれほどにも豊かに表現することができるとは……! とその構図の巧みさには驚きの連続です。趣味モノとしての豆知識が楽しいのはもちろん、「鳥見」というのは生活の側にいる鳥に改めて目を向けることでもある、という日常モノとしての広げ方も良い。鳥関連の言葉遊びも交えつつユーモアたっぷりに、鳥と人間の暮らす世界をなだらかに繋げていきます。

Matcha1919さんの既刊部門4コマオブザイヤー2021!!

ご注文はうさぎですか? (9)
Koi
芳文社
2020-12-25
旅行編が完結し、木組みの街に戻ってきたココアたち。チノたち中学生組はもう高校生で、リゼも大学生になりました。旅先で知り合った新たな顔ぶれの面々なども交えて、第二章開幕といっても過言ではない新しい春がこの巻からスタートしています。新たな出会いと、仄かな別れの予感。積み重ねた過去の重みと、未知への期待。刺激に溢れたごちうさ世界は常に進化を続けており「常に今が最も面白い作品」です。
まちカドまぞく (6)
伊藤いづも
芳文社
2021-02-25
せいいき桜ヶ丘の真実が少しずつ紐解かれる最新巻。幾多の分岐を経てギリギリ今の地点にたどり着いたシャミ子たちでしたが、しかしなお多くの失われたものがあったという事実が重くのしかかります。この世の「かわいそう」を根絶したいと語る新たな魔法少女・誰何は、シャミ子と桃の前に立ちふさがる壁の中でも最凶クラスで、作品自体の表現のラインを改めて再認識させられた鮮烈さがありました。謎が謎を呼ぶ物語から目が離せません。
星屑テレパス (2)
大熊らすこ
芳文社
2021-09-27
ロケット同好会、無事発足! 大会へと向けて張り切る海果たちでしたが、しかし彼女たちの世界が広がれば広がるほど、結果を出すための険しさも増していきます。努力し、喜び、時には涙を流す、彼女たちの感情が繊細な表情の芝居の力によって巧みに表現されます。4コマ漫画でやれる表現を極限まで研ぎ澄ませた、まるで映像を眺めているかのような、ドラマチックな1ページ1ページに思わず息を呑んでしまいます。
エンとゆかり (2)
しろううらやま
芳文社
2021-08-26
愉快な登場人物たちが織りなすRPG風冒険譚、最終巻。魔王の復活など陰謀渦巻く世界観が見えてきた……と思いきや、登場する人々は皆なんだかお人好し。作品ののんびりした空気感に胸が温まります。一方、1巻でも読者を驚かせるほどに卓越した4コマでの激しいバトル描写は今回ももちろん健在。この静と動の同居した独特のテンポ感には惚れ惚れします。単行本おまけの4人パーティでの雰囲気も非常に良かっただけに、まだまだこのパーティの冒険をこの目で見たかった……!
ななどなどなど (2)
宇崎うそ
芳文社
2021-04-27
陰キャ姫玉村小町の奮闘記第2巻! 相変わらず捻くれ者の小町ですが、2巻では球技大会にプールに夏祭りに……となんだかんだ満喫しているのが微笑ましいですね。小町を目の敵にする昔なじみ・このみも登場しますが、そんな人でもなんだかんだ案外話してみるとみんな普通の人なのかもな、なんて良い意味でポジティブな気持ちになれる作品です。夏休みでつい思いっきり太ってしまった! などの作品の遠慮のないギャグも楽しい。

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