pripin789さんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2022!

リリカお嬢様に振り回される! (1)
メイス
芳文社
2022-09-27
タイトルにもある通り「振り回される」シチュエーションは、コメディ作品では古典的といってもいいだろう。そのトラブルメーカーがどんなキャラクターかによって作品が与える印象は大きく変わる。この作品における振り回す存在、リリカお嬢様はあまりにも人間臭くいじらしい存在だ。常識がなく傲慢だが、子どもなりにものを考えている。そんな彼女を見続けていたら、永野とともに愛さずにはいられなくなる。 子どもは守られるべきであるという思想が根底にあることも、安心して見られる要因だ。
ほぐして、癒衣さん。 (1)
ミナミト
芳文社
2022-08-26
この漫画は、あらすじを読んだだけでは想像もつかない官能を内包している。それぞれのキャラクターの属性だけ見ればそれほどセクシーさを感じさせないかもしれない。しかし夜のオフィスの空気が、関係性の交錯があまりに巧みで、体の中の熱を上昇させる。これが百合4コマの最前線だ。
死神ドットコム (1)
優しい内臓
芳文社
2021-12-25
主人公はギャンブル狂い、借金取りが定期的に登場する……というのは序の口。倫理観がぶっ飛んでいながらこいつらにとっては紛れもなく日常。だけど死が隣り合わせである荒涼とした空気が常にこの作品の背景にある。この振れ幅は、4コマというフォーマットはまだまだ懐が広いと思わせてくれる。
ばっどがーる (1)
肉丸
芳文社
2022-01-26
この漫画はとにかく人を笑わせる手札が多い。ハイテンションでありながらキュートである。異常者だらけでありながらワードセンスに優れている。特にその時に常軌を逸した長台詞で、時に間髪を入れない展開で生まれる唯一無二のリズム感に乗せられたと気づいたら笑わずにはいられない。
ニチアサ以外はやってます! (1)
猫にゃん
芳文社
2022-03-25
特撮という珍しいモチーフで描かれるのは、オタクたちのディテールの濃さと、「好き」を貫く趣味ものの王道ど真ん中。その「好き」の説得力は何より、作中の特撮作品のカッコよさに支えられている。4コマという枠組みを逆手に取ったアクションのすごさをどうか見てほしい。

pripin789さんの既刊部門4コマオブザイヤー2022!!

星屑テレパス (3)
大熊らすこ
芳文社
2022-10-27
これまでの人気、そしてアニメ化決定の事実が証明するように、絵の強さも、成長を描く繊細さも、全てがハイレベルな作品であることは言うまでもない。しかしこの3巻で最も重要なのは、物語の始まりにおいて海果に革命を起こした明内ユウに芽生えた、自覚した、育った感情の強さであり、鮮やかさだ。
ホレンテ島の魔法使い (2)
谷津
芳文社
2022-03-25
2年間にわたる貰鳥あむによるエスノグラフィーは、彼女自身がホレンテ島の魔法使いになって幕を閉じた。 ホレンテ島という土地を特別たらしめているのは、魔法の存在である。観光客にとって、それはただの伝説だ。しかし彼女たちの下で、魔法の解釈は常に更新され続けた。時にこの島の伝説にロマンを見出した余所者のあむが、時に魔法使いに"なった"かるての探求が。そして魔法とともに行きてきたこっこもまた、自分の知らなかった「魔法」を見出す。 この島の魔法は、科学の理論のように、若者の精神のように更新されていく。かつて毛皮の男が携えたそれとは、もう似ても似つかぬものとなっているだろう。だが、それは魔法が常に人の営みの中にあった、生きた文化だったことを意味しているとはいえないだろうか。魔法が歌の形を取っているのは、その何よりの証左だ。 貰鳥あむが紡いだ物語は、彼女とその周囲の者たちの生きる日常であり、現代まで築かれてきて未来へと折り重なってゆく歴史の一部なのだ。
紡ぐ乙女と大正の月 (3)
ちうね
芳文社
2022-08-26
2巻まででこの作品はエス文化、当時の和装、華やかな令嬢たちの世界を描いてきた。その丁寧さゆえに大正の時代へ憧れすら覚えたかもしれない。だがその時代性が少女たちを縛るものであることが、令和の視座を持つ紡の目にもとうとう見え始めている。 確かになっていく恋心と、突きつけられる残された時間の短さ。物語はきっと、ここからが本番だ。
社畜さんと家出少女 (4)
タツノコッソ
芳文社
2022-10-27
苦しみに溢れたこの世界で身を寄せ合って生きてきたふたりの物語が完結した。しかしそれは人生という道のりの終わりではなく、彼女たちにとってはここがスタート地点だったのだろう。我々が観測することの叶わない未来だが、この先もふたりが隣にいればきっと大丈夫。そう思わせてくれる、最高の結末だった。
六条さんのアトリビュート (2)
セトユーキ
芳文社
2022-09-27
完結した今振り返って見ると、「知ること」が大きなテーマだったと思う。1巻では、このみに六条さんが知識を授けて美術への気持ちが前向きになるのを描いてきた。2巻でもこの基本スタイルは変わらないが、このみに芽生えた「知ること」への意欲が六条さんの過去に触れる鍵となり、このみとの関係性の変化ももたらした。 学究的なバックグラウンドを持つ作品の人間ドラマでこのクライマックスをやってくれたことが嬉しい。

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