kaiman_00さんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2021!
ホレンテ島の魔法使い (1)
|
谷津 |
芳文社 |
2021-02-25 |
「魔法使いが昔いた」ことを売りにする島を舞台にした4コマ作品。島へ引っ越してきた「あむ」が島に馴染んでいく様子をコミカルに描きつつ、次第に「観光街としての島」「夢と魔法の島としての島」という二つの側面からの現実があらわになっていくというファンタジーとしての物語性も強い作品になっています。
この作品の素晴らしい点はなんといってもそのミュージカルパート。4コマであるのに、どこからかその軽快なリズムと楽しそうな声が聞こえてくるような描写には、読むたびに心躍ってしまいます。
1巻としての構成もとても良く、少女たち一人一人が島で紡いだ「魔法」が集約するクライマックスは圧巻の一言に尽きます。 |
またぞろ。 (1)
|
幌田 |
芳文社 |
2021-04-27 |
留年生3人と留年予備軍1人による楽しいけれど、どこか危うい日常4コマ。主人公である穂波殊の成長、ではなく停滞からの逸脱までの道中を描くようなこの作品は、面白さの中に緊張感を常に感じる、独特な味わいになっています。
また、人とのコミュニケーションについて焦点を当てている作品でもあり、特に他者との意思疎通の困難さについては殊さんを中心に諸所の描写で強く描かれています。これをコメディーにも、シリアスにも昇華出来てしまっているのだから恐ろしい。
彼女たちの日常を、そして行く末を見守りたくなるような、歪で素敵で作品です。 |
しあわせ鳥見んぐ (1)
|
わらびもちきなこ |
芳文社 |
2021-10-27 |
バードウォッチングを題材にした、大学生たちによる日常4コマ作品。表情をコロコロと変える可愛らしいキャラクターと繊細に描写された鳥の数々が魅力的な作品です。
縦に分割された4コマという枠組みを最大限に活用して上空、また水面に暮らす鳥たちを生き生きと描いていて、描かれているもの以上に自然の広さや大きさを感じることができます。
コマ枠に関してもかなり工夫が施されていて、例えば写真風のコマ、動画を再生している画面風のコマ、他にはカメラを模して指を四角に囲ってそこから覗いたようなコマ。枠を使った演出は面白く、また分かりやすい視点の移動として非常に効果的に使われています。 |
ぬるめた (1)
|
こかむも |
芳文社 |
2021-01-27 |
人造人間のくるみちゃんと他3人を中心に描くギャグコメディー4コマ。ストレスフリーで楽しく笑える作品です。
確かにハイテンションでテンポ良く、とても楽しいのだけど、過剰にぶっ飛んでいる訳ではないのがとても良い。
あくまでもキャラクター同士の掛け合いが強く意識されていて、だからこそオチが全て心地良く笑えるものになっています。かといって決して短調という訳ではなく、人造人間という飛び道具を用いた奇抜さも兼ね備えています。故に通読しても全然飽きることなく4人の会話を楽しむことができる、非常に隙のない作品です。 |
瑠東さんには敵いません! (1)
|
相崎うたう |
芳文社 |
2021-09-27 |
本当はイタズラ好きの優等生である瑠東さんと、後ろの席に隠れる和村さんの二人が描く日常4コマ。表紙が非常に良いです。
まずキャラクターの表情の変化が非常に多彩で可愛らしい。表では爽やかな笑顔を絶やさない瑠東さんが和村さんにだけ見せる泣き顔やにやけ顔、困り顔に屈託のない笑顔。この表情のバリエーションが瑠東さんというキャラクターの魅力を非常に引き出しています。
ストーリーも一つ王道のスタイルを保っているものの、学校でのイベントに関する引き出しの多さが作品の個性を形作っています。
読みやすく、キャラクターも可愛らしく、面白い。非常にオススメしやすい日常4コマだと思います。 |