pripin789さんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2020!

星屑テレパス (1)
大熊らすこ
芳文社
2020-07-27
美麗な絵柄、大宇宙というロマン、おでこぱしーのフェティッシュさ…と華やかな部分だけでなく、心情の描写がひたすら丁寧なのもこの作品の魅力。海果の精一杯の愚直なコミュニケーションもファーストコンタクトも同一線上にあるのだと思わせてくれるという点で、新しい「きらら」らしさを定義する作品のひとつだと思う。
ななどなどなど (1)
宇崎うそ
芳文社
2020-03-27
個性あふれる登場人物たちが織り成すコメディ…と紹介するとありきたりだが、ギャグのテンポの良さ、爆発力、どれを取っても質が高い。何より、この作品は安心して笑える。それは、例えば高山萌が狂気のストーカーでありながら面倒見が良い、というように、キャラクターが一面的ではなく、人格を持つ一個人として一貫して描かれている賜物だろう。
紡ぐ乙女と大正の月 (1)
ちうね
芳文社
2020-06-26
大正という時代への解像度の高さはもちろんのこと、市井の人々の意識/文化の過渡期である時代性と若い女性からなる青春ドラマ、そして現代の女子高生という視点の絡ませ方が、単に正確なだけではない魅力的な作品にしている。参考文献が紹介されていて学びへの導線があるのもうれしい。
シメジ シミュレーション (1)
つくみず
メディアファクトリー
2020-02-28
「シメジ シミュレーション」で描かれるものは、自分の見知った世界とは異なる。しかしこの作品を読んで笑ったり感動するとき、そこには納得がある。論理を、法則を見出すこと自体のプリミティブな楽しみでさえあるかもしれない。
エンとゆかり (1)
しろううらやま
芳文社
2020-09-25
かわいくてすっきりした絵柄だが、その印象はすぐに裏切られる。小さく描かれたアイテムからスピード感あるバトルの表現まで、ファンタジーの楽しさ・ワクワク感が詰め込まれている。

pripin789さんの既刊部門4コマオブザイヤー2020!!

旅する海とアトリエ (2)
森永ミキ
芳文社
2020-11-26
旅情を揺さぶる絵、そして旅を通じた心の変化を描くストーリーが魅力的なこの作品だが、言葉のセンスにも注目したい(4コマの中のどこに文字を置くか、そのリズムを含めて)。特に2巻後半、海のモノローグは素晴らしい。 2巻で完結なのが残念だが、最終話とともに発表された森永ミキ先生の新作にも期待したい。
放課後すとりっぷ (2)
若鶏にこみ
芳文社
2020-01-27
こうして年間ベスト作品として選んでいるものの、自分はこの作品についてよくわかっているとはとても言えない。それくらい、「放課後すとりっぷ」は読むたびに発見がある。それは、青春を生きる人たちの心は綺麗な・単純なものじゃない、という理念がこの作品を貫いているからだと思う。誰もがぐちゃぐちゃしたものを心に抱えており、そのすべてが解きほぐされはしないものの、最後には「良かったな」と思わせてくれる。これもまた青春の形だ。帯にも採用された「わたしの性欲を好いてくれてありがとう…」というセリフは、頓智気に見えてというか実際そうなのだが、しかし間違いなくこの作品を象徴している。
スロウスタート (8)
篤見唯子
芳文社
2020-10-27
8巻の時を経て、ついに花名の浪人問題に切り込んだ。長期連載となった今、もうこの件に触れなくても良いのではないかという雰囲気さえあったかもしれないが、しかしスロウスタートは最高の形で決着をつけてくれた、そのことが何より嬉しい。
ぼっち・ざ・ろっく! (2)
はまじあき
芳文社
2020-02-27
鮮烈な印象で現れた1巻が後藤ひとりがギタリストとして目覚めた話だとすると、2巻は結束バンドが進む道を見つける話だ。4人である意味、4人だから歌える主張。熱さと異質さはそのままに、深みが増してこの先がさらに楽しみになった。
普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。 (8)
小杉光太郎
一迅社
2020-03-23
ある意味禁じ手ではないかとも思ってしまうこの8巻。アニメ版【ろこどる】が名作なのはファンなら周知の事実だろうが、8巻は大胆にアニメの要素を逆輸入してきた。それが違和感なく溶け込んでいるのは、7巻までで良い意味で変わらない空気を作り上げてきたからかもしれない。

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