tau13865065さんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2025!

はるか咲きそふ、刻どきの (1)
ぴらそん
芳文社
2025-08-27
尾道の風景が繊細なタッチで描かれていて、その土地の匂いと温度が伝わってくるような感じがします。人物の表情や視線、仕草も細かく描かれているので、まるで人と町が融け合って自然の風景の一部となっているようです。人間を模倣したオートマトンが実用化されている世界で物語は穏やかに進み、読者に人間らしさとは、人間とオートマトンの違いとは何かを問いかけます。主人公の悠季がそうするように、私も不器用ながら人間味とは何かを考えたくなってしまいます。
フルボイス! (1)
科戸コウ
芳文社
2025-09-27
根拠のない前向きさが取り柄の主人公・きなりが声優養成所の新人マネージャーとして働くお仕事もの。基本的には明るい作風ですが、きなりが声優になる夢を諦める導入場面から感じられるように、ほんのりと世知辛さが漂っています。きなりの努力の跡を見ると、きなりは考えなしに前向きでいるというよりは、後ろ向きな感情を覆い隠すのが上手いのかなと思ってしまいます。きなりが人の夢を応援するだけではなく、声優のたまごたちと共に夢を追えていることが嬉しいです。
ROCA コンプリート
いしいひさいち
徳間書店
2025-06-02
『ののちゃん』のスピンオフ作品であるROCAシリーズをまとめた一冊。新聞4コマの代表と言ってもいい『ののちゃん』の絵柄で描かれるストーリー4コマというのが新鮮でした。「ROCA:吉川ロカ ストーリーライブ」のラストの余韻が強烈です。新聞の紙面上で展開される日常のすぐ外側にも本作のような物語があるということに、趣深さと物哀しさを感じました。
べつに友達じゃないけど
やまもとりえ
KADOKAWA
2025-02-14
表向きにはいい人として振る舞っている人にも裏の顔があるというのはよくあることですが、その逆もよくあることなのでしょう。自分の嫌な所は誰よりも自分が知っていますが、自分にも「いい人」のような部分があるのかもしれません。そのことを誰かから教えてもらえたなら、明日からはもう少し「いい人」であろうと思えるかもしれない。そう感じさせてくれる、ハートウォーミングなエッセイ風4コマです。
魔女まじょS-WITCH (1)
海老川ケイ
芳文社
2025-10-27
萌え4コマの王道中の王道を突っ走るような作品です。コントラストのはっきりとしたキャラクター性、持ちつ持たれつの関係性、可愛さにあふれる独特な世界観が魅力的ですが、それだけではありません。本作のすごさは、理論整然としたリズムと奇想天外なユーモアを前述の要素に重ね合わせることで「王道」を実現しているところにあると思います。

tau13865065さんの既刊部門4コマオブザイヤー2025!!

星屑テレパス (5)
大熊らすこ
芳文社
2025-02-27
学校、授業、部活、文化祭、アルバイト……。日常には人との会話が付き物です。しかし、会話というのは誰もが当たり前にできることでは決してありません。海果はそのことを知っています。それなのに、どうして海果は人とうまく話せるようになりたいと願うのでしょうか。海果にはユウのおでこぱしーがあるのに。答えは単純ですが、難しくて、尊いものです。星屑テレパスの5巻を読むとよくわかります。クライマックスとなるスピーチのシーンは圧巻です。海果が一コマずつ重ねてきた時間が、言葉にならなかった感情のすべてが、その瞬間に集約しています。その感情は、一読者でしかない私のものでもあったのです。この先、私は人前に立つ度に海果の勇姿を思い浮かべることでしょう。
ご注文はうさぎですか? (13)
Koi
芳文社
2025-08-27
日常とは、心理状態が大きく動きすぎない範囲で変化しながら反復・維持されている状況のことを言うのだと思います。別れは日常を終わらせるものの一つです。別れの後には、以前とは異なる日常がやってきます。大切な家族との永遠の別れを経験したチノは、喪失とどのように向き合えばよいのでしょうか。ココアの高校卒業、都会への旅立ちが間近に迫っていますが、チノとココアはお互いのいない日常をどのように過ごせばよいのでしょうか。ごちうさ13巻は、メーテルリンクの『青い鳥』をモチーフとして優しい結論を示してくれます。そして何より、ココアの寂しがり屋な一面に焦点が当てられて、寂しさに立ち向かおうとココアが決意できたことが嬉しかったです。
スロウスタート (13)
篤見唯子
芳文社
2025-11-27
花名は小さなことを気にし過ぎてしまう人で、そんな花名に私は共感していました。ちっぽけな隠し事でも、花名にとっては、ずっと、ずっと重荷でした。その隠し事が解消された今、花名の小さなことを気にし過ぎてしまう性格は、周りの人を救うことのできる彼女の優しさに繋がっています。私はそのことに言い知れぬ感動を覚えるとともに、近いようで遠いところにいる花名への憧れを強めてしまいました。友のためを想って泣く花名を見ていると、心の奥底から涙がこみ上げてきます。その涙から、自分の在り方を問われているような気さえします。
かみねぐしまい (2)
若鶏にこみ
芳文社
2025-08-27
1巻では物語が視点を次々に入れ替えながら進んでいた本作ですが、2巻では視点が神様に寄っていました。神様は榊姉妹のことを知ろうとする点では読者である私と同じですが、考え方が人間とは根本的に異なります。そのために私は物語世界を俯瞰的に眺めるしかなく、登場人物の内情を把握しきれない「不完全な神視点」に自身がいることを意識させられました。それでも私は彼女らの幸せを信じることができています。細やかな人物・背景描写と時間の切り取り方が魅力的な本作は、私にとっての理想的なストーリー4コマに近い作品でした。
ななどなどなど (4)
宇崎うそ
芳文社
2024-12-25
絶妙なキャラクターバランスによって生み出される面白さは4巻でも健在です。キャラの性格のポジティブ/ネガティブな面がそれぞれ際立っており、ギャグに毒っ気がふんだんに盛り込まれていながらキャラへの好印象が崩れないように話が作られています。るる萌の出会いのエピソードでは、るるの健気さと萌の人の良さが感じられました。体育祭のエピソードでは、やるときはやる小町を見ることができてよかったです。

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