yuzuoshi_akiさんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2023!
メールブルーの旅人 (1)
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こだまり |
芳文社 |
2023-02-27 |
ポストアポカリプス世界の遺産である、メールブルー(情報世界)を巡るSF股旅物。
情報世界の数々は摩訶不思議なようでいずれも戯画化された現代社会の縮図であり、純粋なAI主人公とヒネた相方の目線によって、時にまっすぐ、時に社会への風刺を込めてシニカルに映し出される。
しかし最大の皮肉は情報世界そのものではなく、「画面の前の人間(つまり読者)は二次元の世界には入れない」この事実に尽きるだろう。
旅をしているようでしていない我々はどうすればいいのか、結末までしっかり見届けたい。
ただの傍観者に過ぎないとしても。 |
きもちわるいから君がすき (1)
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西畑けい |
芳文社 |
2022-12-26 |
作者のどうしようもないキモさが、ひたすら斜め上へぶっ飛び続ける怪作として昇華された。
「冬、親友のスプーンを舐める」をはじめとした奇行の数々は一周回って痛快ですらあり、着地点の見えない投げっぱなしジャーマンなのに作品として成立している不思議。
予測のつかない(想像したくもない)本作の展開を、期待と諦めが入り混じった奇妙な感覚で読み進めてしまう自分がいる。 |
ギャルとネクラの吸血関係(1)
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カコベン |
芳文社 |
2023-06-27 |
毎回毎回、吸血=実セ。えせギャルの悶え方がエロいです。以上!
…だと、あまりに身も蓋もないけど、そんな予定調和の世界ゆえにグダグダ言うのはかえって野暮というもの。
考えるな、感じろ!(性的な意味で) |
マグロちゃんは食べられたい! (1)
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はも |
芳文社 |
2022-12-26 |
互いに好意を抱いているのに「捕食」という一点が壁となり、どうしようもなく断絶した二人の価値観。
ヒロイン(魚)が純粋な想いを向けてくるたびに、この子とは永遠に分かり合えないと思い知らされる、究極の両片思い。
食べる側が、食べられる側といちいち情を通わせていては身が持たない。
それは、生きるために常に何かを食べている人間の日々の暮らしの一環であり、そういう意味では日常物の一つの形と言えるのかもしれない。 |
のけもののまち (1)
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はちべもつ |
芳文社 |
2023-11-27 |
2020年前後からのきらら各誌の陰キャ激推しは少しずつ落ち着きを見せ、穏やかな日常&明るい主人公が盛り返しつつあると思わせる作品のひとつ。
すれ違いやいざこざはあっても尾を引くことはなく、平和な結末&ドタバタオチへと収束する。
こういうのでいいんだよと言わんばかりのきららのお家芸で、雰囲気漫画的な世界なので正直感想に困るのだけど、読んでいて安心するので定期的に摂取したい、そう思わせてくれる。 |