11gatsu_remmeiさんの選んだ新刊部門4コマオブザイヤー2024!
エイティエイトを2でわって (1)
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有馬 |
芳文社 |
2024-01-26 |
海外にピアノで留学して上手くいかず帰ってきた奏と、ピアノがずっと好きで高校の寮にまでピアノを持ち込む美弦の共同生活。
美弦はピアノを弾けなくなっていた奏を連弾に強引に引き込んで引っぱって(振り回して)いく。一方で奏は美弦にピアノの基礎を教えていく(ハノンとか)。
早くサントラを出して欲しい漫画オブザイヤー。 |
へるしーへありーすけありー (1)
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O仮名だモ |
芳文社 |
2024-09-27 |
美大に入ってスランプになった絵描きの七草と、妖怪の学校に通いながらも人間とも妖怪とも言えないヨモギの共同生活。
吸血妖怪「のぶすま」の子であるヨモギは1年間の試験期間中1人からしか血を吸えないのだが、一人暮らしで自堕落な生活をしていた七草の血は劇マズでとても飲めたものではない。
ヨモギはなんとか七草を健康にしようと尽力するが、七草とヨモギは無事卒業できるのか。
カラーページでも血の気ゼロな七草がすごい。口の中まで灰色なのはヤバすぎる。
紙面が文字でごちゃっとしてるんだけど、それがまた特徴的でもある。 |
オールドヨコハマラジオアワー (1)
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青田めい |
芳文社 |
2024-05-11 |
大好きなラジオ番組を終了から救うため、ループを繰り返す漫画。ループものだけど悲壮感がなくて明るいのが良い。 |
かみねぐしまい (1)
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若鶏にこみ |
芳文社 |
2024-06-27 |
性格が違って仲が悪いようで良い双子のツギノとまえなと、神様になるために人の望みを叶える試練を与えられた神様の子供の共同生活。
神様もその子供も、見た目は人間のようだけど考え方は人間離れしていて、人の望みを叶えるというのも簡単なようで難しい。
唐突だけど倫理学の一分野に「ケアの倫理」というものがあって、従来の倫理(近代以降の西洋におけるもの)が普遍的な善について考えるのに対し、ケアの倫理では個々の相手が何を欲しているのか、それをどう満たすのかというのを重視する。従来の倫理では人間を、良く言えば平等、悪く言えば均一な存在として見ていたのに対して、ケアの倫理では他人は自分とは異なる存在であり、異なるニーズを持っていて、それは推測することしかできず、推測は間違っているかもしれないという前提に立つ。だからこそ圧倒的に力の差がある間柄でもケアは成り立つし、そのためには相手をよく見て、何を欲しているのか推測して、それを与えた後に反応を見て推測が間違っていなかったか確認することが重要とされる。
この作品は圧倒的な力を持ち、考え方も人間と異なる神様の子供が、人間にケアを与えるための倫理を学んでいく作品と捉えることができる。 |